蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
三章
1.ディナーショー
翌週の月曜。
───クリスマスを5日後に控えた日の午後。
午後、絢乃は休憩スペースで缶コーヒーを片手にぼーっと物思いに耽っていた。
慧がマンションを離れてから、もう3週間になる。
そして、あの日以来・・・
絢乃から慧に連絡することも、慧から絢乃に連絡することもなくなった。
今はメールすらしていない。
「・・・」
もう、慧に対してどう接すればいいのかわからない。
ただの仲違いとは訳が違う。
これまでずっと一緒に暮らしてきて、まさかこんな日が来るとは思ってもみなかった。
・・・もう飽きた、と言った慧。
もう、これまでのように、仲の良い兄妹に戻ることはできないのだろうか・・・。
・・・あれほど言われても・・・
それでもまだ、慧に戻ってきてほしいと思ってしまう。
慧がいないことが、これほどまでにストレスになるとは思ってもみなかった。
───近すぎて気づかなかった、大切なもの。
離れた今、絢乃はその大切さを心の底から実感していた。