蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
冬の冷たい夜闇が慧の体を冷やしていく。
絢乃と過ごした、幾度の冬、春・・・
絢乃との想い出に溢れた、懐かしく輝かしい日々。
・・・絢乃が傍にいるだけで、自分は幸せだった。
けれどもう、絢乃との想い出を増やすことはできない。
今、絢乃が自分の傍にいてくれることすら、儚い奇跡だ。
慧は夜闇をじっと見つめた。
───絢乃のいない人生は、慧にとっては冷たい闇にしか見えない。
闇は、すぐ近くまで迫っている。
終わりの日は、近い。
慧はしばらく夜闇を見つめた後、そっと目を閉じた。