蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
「さすがにその恰好で連れてくわけにはいかない。ちょっと来い!」
「え、ええっ・・・」
卓海は絢乃の腕を掴み、近くにあったプランタンへと絢乃を引きずっていった。
プランタン銀座は地下2Fから地上5Fまである女性向けのショッピングビルだ。
卓海は5Fにある、パーティドレスなどを扱う店の前に絢乃を連行した。
奥から出てきた店員に、ぽんと絢乃を突き出す。
「こいつに、ドレスを一式見繕ってやってくれ。小物も適当に合わせてくれ」
「畏まりました。ご希望の色などはございますか?」
「そうだな・・・黒か赤系で頼む。時間がないから10分でやってくれ」
「了解しました!」
店員は絢乃の腕を掴み、奥の試着室へと連れ込む。
絢乃は目を白黒させながら、店員にされるがまま、ドレスや靴を何着か試着した。
───そして、10分後。
試着室の鏡に、黒いドレスを着た自分の姿が映った。
イブニングドレス風というのだろうか、胸元はわりと開いているが、脇がしっかり締まっているのでチラ見えすることはないだろう。
店員が試着室のカーテンを開けると、卓海が後ろから鏡を覗き込んだ。