蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
店員は絢乃をカウンターの前の椅子に座らせ、店頭に置いてあった髪飾りをいくつかピックアップした。
その中で一番似合いそうなものを使い、絢乃の髪を軽くまとめ上げていく。
その間に、卓海は別の店員を捕まえて会計を済ませていた。
───そして10分後。
鏡の中に、髪を巻き上げた自分の姿が映った。
夜会巻きの変形バージョンとでも言うのだろうか。
これをささっと手早く形造れるというのは、やはりプロだ。
「・・・ん、なかなかいいんじゃねぇの?」
「・・・そ、そうですか?」
「じゃ、行くぞ」
卓海は絢乃の手を掴み、ぐいと引く。
・・・相変わらず強引だ。
けれどドレスやら髪飾りやら、一式揃えてくれたのは正直ありがたい。
絢乃は卓海にお礼を言い、卓海に続いてプランタンを出た。