蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~



慧はロビー中に響くような大声で叫び、つかつかと二人の前に歩み寄った。

その瞳に宿る、燃えるような怒りと・・・嫉妬。

慧が絢乃の前で、しかもこんな公共の場で大声で怒鳴ることはめったにない。

その迫力に凍りついた絢乃の手を、慧は卓海から奪うようにもぎ取った。

そしてそのまま踵を返し、大股でエレベーターホールの方へと歩いていく。


「・・・おい、慧!?」


卓海の声が背後に聞こえる。

しかし慧は振り返ることなく、速足で歩いていく。

絢乃は呆然としたまま、慧に引きずられるように連行されていった・・・。



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