蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
慧の瞳が、鋭さを増していく。
それと共にしだいに深まっていく───切なさ。
「よりによって、おれの誕生日に・・・こんな所で・・・っ」
「・・・っ」
「おれが、どんな思いで・・・お前を・・・・っ」
慧は壁についた右手を拳に握りしめ、ドンと叩いた。
───憤りを叩きつけるかのように。
慧はそのまま俯き、クッと喉で笑う。
絢乃は固まったまま、慧を至近距離で見つめていた。
・・・これは、いつもの慧ではない。
なぜか、背筋をつめたいものが走っていく。