蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
やがて、慧はその黒褐色の髪を揺らし、ゆっくりと顔を上げた。
・・・そして。
その瞳に、絢乃は心が鷲掴みにされるような気がした。
───慧の瞳によぎる、燃えるような熱情。
「・・・ね、アヤ・・・」
「・・・っ・・・」
「覚えてる?・・・誕生日プレゼント。何が欲しい?って、お前、言ったよね?」
慧は熱に浮かされたような瞳で、じっと絢乃を見つめる。
・・・その熱く、切ない瞳。
慧は熱情に押されるかのように、掠れた声で囁いた。
「・・・今夜だけでいい。お前が欲しい」
───その言葉に。
絢乃は自分の頭の中が真っ白になるのを感じた。
慧が言った言葉の意味が・・・
頭に、入ってこない・・・。