蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
絢乃は目を見開いたまま、慧を見つめていた。
───慧は、自分を試しているのだろうか。
自分がどれほどの覚悟で慧に戻ってきてほしいと言っているのか・・・
それを、試しているのだろうか・・・。
でも・・・。
「・・・慧兄が、それで戻ってくれるなら・・・」
絢乃の口から、ぽろりと言葉が落ちる。
それは、無意識のうちに絢乃の心から落ちた言葉だった。
───次の瞬間。
絢乃の体に慧の腕が回り、もの凄い力で抱きしめられた。
・・・息が止まりそうなほどに激しい、その抱擁。
その力の強さに、その情熱に驚き顔を上げた絢乃の唇に、慧の唇が重なる。
───少し震えている、熱を帯びた、しっとりした唇。
絢乃の背に回った腕に、力が籠められる。
重ねた唇が、じわりと熱を帯びていく。
───何も、考えられない・・・。
絢乃はぼうっとしたまま、呆然と慧の唇を受けていた・・・。