蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
3.慧の心
───汗ばんだ肌にまとわりつく、熱。
甘く柔らかなウッドノートの香り。
絢乃の体を包み込む、すべらかで熱い肌。
何度も快楽に煽られ、高められ、落とされて・・・
熱で朦朧とする視界の中、もう、自分が何をしているのかもわからない。
・・・足の間にじわりと広がる、優しい快楽。
絢乃はぼんやりとした意識の中、慧の熱に包まれながら、ぼうっと天井を見上げていた。
───慧に、抱きしめられた時。
絢乃は、慧が自分を試しているのではないかと思った。
どれだけの覚悟で、『戻ってきてほしい』と言っているのか・・・
慧はそれを試しているのだと、思った。
───それならば、自分はどんなことにも耐えてみせる。
慧がどれだけ自分を酷く扱っても、それでも自分は慧に戻ってきてほしいのだと・・・
この気持ちを、この身をもって伝えるしかないと思った。
あの苦い記憶が一瞬頭をよぎったが、慧が戻ってきてくれるということのほうが、絢乃にとっては遥かに重要だった。
けれど・・・。