蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~




絢乃の目が涙で滲み、涙が一粒、頬を零れ落ちていく。

・・・真珠のように綺麗な、その涙。

涙を掬うように、慧の指が頬にそっと触れる。


「・・・アヤ・・・」


慧は絢乃の頬を両手で包み、じっと見つめる。

・・・その、切望と熱情に満ちた瞳。

その綺麗な瞳に、一瞬、痛ましげな影が落ちる。


「・・・ごめんね、アヤ。アヤが泣いても、もう止められない。・・・夜が明けるまでは、お前はおれのものだよ」

「・・・っ・・・」


絢乃は涙に濡れた瞳で慧を見上げた。

慧の瞳も、絢乃の涙を掬い取るその唇も・・・

頬に触れる指も、絢乃の肌に触れる慧の肌も・・・


───その全てが、ただ一心に自分だけを求めている。


泣いているのは、辛いからでも哀しいからでもない。

体中で感じている、慧の情熱が、愛情が・・・

身を切られるような切なさとともに、絢乃の心を震わせる。


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