舞い散る花の導く先に
ふっと目を覚ます。

まるで、今まで眠っていたかのような感覚が私を襲う。

そして同時にくらりとめまいを覚える。

後ろに倒れそうになると誰かが支えてくれる。

沖「大丈夫?呉羽ちゃん。」

呉「おき、た、さん・・・・」

いつからいたのだろうか、当り前のようにわたしのことを支えてくれる。

ああ、昔ならば私のことを支ええてくれたのは信長様だったのに。

もう、現世で逢いまみえることはないのですね。

そう思うとつうっと頬に涙が伝う。

沖「呉羽ちゃん?」

呉「本当に、お慕いしていたのです・・・」

沖田さんは黙って聞いてくれる。

呉「たとえお飾りの正室と呼ばれようとも、子が産めぬできそこないの姫武将とすげさまれようとも、側室に子ができようとも・・・・」

涙が止まらない。

呉「それでも私は、信長様を愛していたのです。」

沖「うん、そうだね」

そっと頭を撫でてくれる。

ああ、私が濃姫として生きる時代は終わったのだとやっと思えた。


思い出にすがってばかりでは前に進めない。


これから、呉羽として生きよう。
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