舞い散る花の導く先に
あの、優しかった雅が仲間を殺した挙句裏切った?

そんなはずないという言葉がぐるぐると脳内をめぐる。

土「新選組では仲間殺し、脱走はご法度だ。ましてや密使の途中でのけだした雅は・・・」

土方は言葉を一度きり、私をまっすぐ見つめる。

土「連れ戻し次第事情を聴き、処刑にする。」

処刑・・・・?

あまりに物事が急激に進みすぎて私は混乱する。

しかし、どこかで冷静に周りの状況を図る自分もいる。

山「あなたには少々お辛い話でしょうが・・・」

呉「それが・・・・」

私はなんとか言葉を発する。

近「それがなんだい?」

呉「それが、けじめというのならば仕方がないことでしょう。」

武士として仲間を裏切る行動はあってはならないことだ。

下剋上は謀反を起こす勇気があるものだけが行うべきだ。

仲間を殺して逃げるなんて

あってはならないことなのだ。

沖「ふふっ。君、実の姉妹が殺されるって話されているのに随分冷静なんだね。」

呉「これくらいで驚いていたらこの世を生きていくことなんて不可能ですからね。」

自分が淡々と会話できているのは

きっと前世でも同じような場面に何度も遭遇してきたからだろう。
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