舞い散る花の導く先に
呉羽が屯所に来て数日が立った。

特に逃げる様子もなく、ただ静かに部屋で過ごしていた。

食事はみんなと一緒に取るが一言も会話を発しない。

呉羽の声を聞いたのはあの夜が最後だった。

平「やっぱりさー。急すぎたんだよなきっと。」

一「平助。なにがだ?」

今は剣道場で幹部が稽古をしている。

しかし近藤と山南は隊士を集めるために江戸へ行っているためにここにはいない。

平「呉羽のことだよ!!急に連れてこられて強制的にここにいるんだぜ?」

沖「仕方がないんじゃない?それが彼女の運命だったんだよ。」

平「総司はやっぱり知らない人間にはつめてなあ。」

平助が少し頬を膨らませる。

原「土方さん。これから呉羽をどうするんだ?一生あのままってわけにもいかねえだろ?」

土「まあな。なにか仕事でもやらせた方が気がまぎれるのか?」

新「くっそおお!!!俺も呉羽ちゃんの声聞いてみたいぜ!!!!」

今は初夏だ。

今日の夏は初夏と言えとも熱い。

それに加えて新八の暑苦しさがさらに部屋の湿度を上げているようだった。
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