舞い散る花の導く先に
呉「その薬を一粒彼に飲ませてください!!」

原田さんは言われるがままに一粒彼に飲ませる。

するとみるみると血が止まっていく。

沖「あの時と同じだ・・・」

「んっ・・・・」

呉「大丈夫ですか?」

「っ!!雅!!お前、俺になんの恨みがあるんだよ!!」

男の人はがしっと私の腕を掴む。

呉「あの・・・」

「あんなに共に戦ったのに!!その日々は嘘だったのか!?」

彼の悲痛な叫びがひびく。

そうか、こんなことをされてまでも彼はどこかで雅を信じているのだろう。

これは、何かの間違いだとおもっているのだろう。

そのまま彼は数人の隊士たちに運ばれていった。

ふっと手を見ると彼の血がついている。

着物のあちこちにもだ。

ああ。ここは戦国の世とそうは変わらぬ世なのだと実感する。

土「呉羽」

名前を呼ばれてゆるゆると視線を上げる。

沖「呉羽ちゃん。君は一体・・・・」

一「誰なのだ?」

ああ、もう答えてしまおう。

信じてもらえなくても構わない。

呉「私は、呉羽。前世は魔王と呼ばれ、本能寺の変で命を落とした織田信長の妻、濃姫です」

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