舞い散る花の導く先に
はっと目を覚ます。

私、いったい・・・・

あたりも見渡してもここは天守閣ではないようだ。

ああ、ここは私の部屋だ。

屯所の、一室の部屋。

「あのまま、倒れたのかしら?」

ぷっつりと記憶がなくなっている。

なんだかとても懐かしい夢を見た。

あの頃と変わらぬままの信長様。

私も、とても幸せそうに微笑んでいた。

寂しい気持ちがあふれてくる。

だけど、今の私は一人じゃない。

みなさんがいる。

そっと襖を開けると満月が照らしている。

「かならず、現世でもお逢いします。」

伝う涙は決意のしるし。

あなたにお逢いできたら何を話そう?なにを聞こう?

そんな思いが胸にあふれてくる。

「呉羽ちゃん?」

名前を呼ばれて向くとそこには沖田さんがいた。

呉「沖田さん」

沖田さんはそっと近づいてくる。

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