大人的恋愛事情 SS
そんな事を言って視線を足元に向け言葉を続ける。
「総務や人事は儲けるって意味ではなんの役割もないしね。製品を開発して、それを製造して売る。そうして儲けるお金で会社が成り立つでしょ? そう思うと総務でお金が産み出されることはないから……」
「そんな事言い出したら、企画も同じじゃねえ?」
俺が聞くと繭が足元に落としていた視線を上げて、少し不思議そうに首を傾げた。
「そうなの?」
「そうだと思う」
「ふーん、じゃあそうなんじゃない」
急に興味がなくなったのか、元々企画には興味がないのか、それとも俺に興味がないのか、どうでもよさそうに言い捨てられてやはり苦笑いするしかない。
可愛げあるのかないのかよくわからない。
意識して出そうとはしていない事だけはよくわかり、そもそもそれを隠そうとすらしない。
まあ、俺に興味がないなら当然と言えば当然だけど。