大人的恋愛事情 SS
 
そんなどうでもいい世間話をしながら着いた店で、改めて飲み直す。


薄暗く静かなバーで、カクテルを飲む女はやけにしっくりと店に馴染む。


「よく来るのか?」


俺がそう聞くと、カウンターで隣に座り椅子に凭れる繭が身体を起こす。


「初めてだけど。てか、そっちがここに連れて来たんでしょ?」


不思議そうに返されて、そういう意味ではないと言い直す。


「ここって意味じゃなくて、こういう店にってことだ」


「どうかな? あまり来ない」


アッサリと返してくる女は、あまり来ないわりにリラックスしているように見え。


初めてこうして話をする俺にも、緊張している素振りもない。


薄明かりの照明に、アップされている髪が僅かに垂れ、細い筋の影を頬に落とす。


綺麗な女……。


単純にそう思えるほどの顔に、細くスタイルのいい身体。


少し冷たいような印象に見えるほどの美人。
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