大人的恋愛事情 SS
媚びることもない女の乱れる姿など、確かに想像しがたいものがあり、同時に想像できないそんな姿を見たいという欲求にかられる。
薄く小さな唇が、カクテルグラスに触れるのを見ながら、誘ってみようかと考えだす。
どうせ二度とないチャンスだ。
当然断られるだろうけれど、もしかしたらもあるかもしれない。
酷く酔っているわけでもないけれど、酔っていないわけでもない。
ここまで付いて来たということは、今日は予定があるわけでもないのだろう。
もしかしたら村岡もどこかで、営業部の新年会をやっているのかも。
万が一、誘いに乗ってくるなんて事があれば、俺にもまだチャンスはあるって事だし。
結婚の話が出ているとは聞いた事がなく、逆にこのまま行けば当然そんな話しも出るだろうし。
そうなると、本気で俺には無理になる。
最初で最後の接点なのだ。
遠くから見ていて、憧れていただけの女が今目の前にいる。