大人的恋愛事情 SS
「ホットか?」
「冷たいやつ」
そう言い放ち、ガードレールに腰かける態度は、自分で買うつもりはないらしく、仕方がないのでコンビニに入りお茶を買う。
そういえばと思い付き、避妊具も買って店を出ると、意外とワガママらしい女が、ガードレールに座ったまま手を出して来た。
「ありがと」
緑茶を受け取ろうとする差し出される手に、緑茶ではなく俺の手を出すと一瞬躊躇った後、その手を掴んできた。
寒い冬の夜だというのに、その手は熱く、見た目より酔っているらしいことがわかる。
「お茶欲しいんだけど」
「後でな」
そう言って歩き出す俺に、怒るわけでもなく手を引かれ素直に付いて歩く。
俺の手を握り返してくるその手の温度に、単純な欲望とは違う何かが心に芽生え始める。
フロントで手続きをしている間、小さなロビーでソファに座り緑茶を美味しそうに飲む。
どこまでも余裕なのか、よほど酔っているのか、それともすべてがどうでもいいのか……。