大人的恋愛事情 SS
「で、先にシャワー?」
簡単にそう聞かれて少し笑う。
「いや、やっぱいい」
俺の言葉に首を傾げ、見上げる繭の潤んだ瞳が明りに揺れる。
「いいって?」
「しなくてもいいって事だ、寝たいなら寝てもいいし、もう少し飲んでもいい」
いくらなんでも酔った勢い的な事は違う気がしてそう言うと、瞳を潤ませる女が溜息を吐いた。
「なにそれ……寝たくもないし、もう飲む気分じゃないんだけど?」
呆れたような声を出して、座った姿勢のまま煩わしそうに髪を留めていた髪留めを外す。
長い髪がフワッと揺れるのを見ながら、その場で立ち尽くしていると、ネックレスも外して髪留めと一緒に隣のベットに放り投げた。
そんな雑な行動に思わず笑うと、それが気にいらないらしい女が面白くなさそうに呟いた。
「誘ったのはそっちじゃないの?」
真面目で堅いイメージだったはずの女は、そうではないらしい。