大人的恋愛事情 SS
 
「シャワーしてくる」


何故か俺の方が動揺していて、思わず逃げるようなことを言うと、そのままベッドにドサッと倒れた繭が微かに笑った。


「早くしてくれないと、寝るかも」


さっき寝たくないと言ったはずの女は、次の瞬間には寝ると言い出す。


まあ酔っているだろうし、まともに考えても意味がない。


そんなことを思いながら、シャワールームに入りシャワーを済ませ部屋に戻ると、寝るかもと言った女はさっきの体勢のまま寝転んでいて。


「寝たのかよ……」


思わず呟くと、動くわけでもなく目を開けるわけでもない繭が声だけを出す。


「寝てない……」


いかにも眠そうな声に、可愛いと思える単純な俺は、ベッドに腰かけその顔を見つめる。


綺麗な顔にかかる髪を払うと、ピクリと動く瞼。


「服脱いで寝た方がよくないか?」


まだ起きている繭にそう言うと、同じく目を閉じたまま微かに笑う。
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