大人的恋愛事情 SS
「そういえば繭さん、今日って誕生日じゃありません?」
隣のデスクで頬杖を付く美貴ちゃんが、思い出したように聞いてくる。
確かに、今日は私の誕生日……。
「そうね」
伝票を整理しながら、軽く答えると美貴ちゃんが身体をこちらに向けた。
「おめでとうございます。てか、お祝いします?」
「いいわよ」
「え、どうして? ああそうか、そりゃあそうですよね……」
何だか一人納得したように呟いて、身体を元に戻しやっぱり頬杖を付く美貴ちゃんは、ホントに仕事をしてるわけ?
毎日毎日よくそんなに、ボウッとしていられるとある意味感心する。
「なにがそうなの?」
「いえ、当然藤井さんに祝ってもらうんだろうと思って。私に祝われても嬉しくないですよね」
なぁんて、軽く言う美貴ちゃんに視線を向けた。
「そういうもの?」