大人的恋愛事情 SS
どうすれば頭の固いお偉方を納得させられるかと考えながら、無意識に顔を上げると、無駄に俺に仕事を押し付けてくる上司が軽く笑った。
「総務と一緒にすることになったから、送れないようにしろよ?」
その言葉に反応する俺は思わず壁にかかる、アナログ時計を見た。
現在時刻は昼の3時20分……。
遅れないようになんて随分軽く言ってくれる。
他にも仕事が残っているのに、夜7時からの新年会に間に合うわけない。
それを訴えようと部長に視線を戻すと、もう自分のデスクに戻っていた。
立ち上がって抗議しに行こうかと一瞬考えたものの、俺は諦めて資料をデスクに置いた。
抗議している時間も勿体ない。
総務も一緒らしい新年会に、遅れるわけにはいかないからだ。
新年早々俺は、絶対に逃せない飲み会のため、よその課から回ってきた仕事と、部長から押し付けられた仕事を必死で片づけるハメになった。