あの夏で





俺は驚いた。




あの香月が人前で泣いている。




「こっち見んな…あほぉ…」




人前であんまり感情を出さない香月が……。




だけど俺は震えている香月の体を抱きしめることができない。




「香月…全部…吐き出していいから…」




それを全部受け止めることが、今の俺ができること。





「ずっと…1年のときからゆうきだけだった!!
たまたま席が近くて、ゆうきと仲良くなって、もっと好きになった!!
もっともっとって思った!!
ゆうきが先生のこと…好きだってわかってた…。
いつも保健室に行くし…。
態度がわかりやすいんだよ…。
…どうしてあたしじゃないの?
どうしてあたしを見てくれないの?
どうして……!!!」








< 111 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop