あの夏で
俺は驚いた。
あの香月が人前で泣いている。
「こっち見んな…あほぉ…」
人前であんまり感情を出さない香月が……。
だけど俺は震えている香月の体を抱きしめることができない。
「香月…全部…吐き出していいから…」
それを全部受け止めることが、今の俺ができること。
「ずっと…1年のときからゆうきだけだった!!
たまたま席が近くて、ゆうきと仲良くなって、もっと好きになった!!
もっともっとって思った!!
ゆうきが先生のこと…好きだってわかってた…。
いつも保健室に行くし…。
態度がわかりやすいんだよ…。
…どうしてあたしじゃないの?
どうしてあたしを見てくれないの?
どうして……!!!」