あの夏で
「熱、かしら?」
「さぁ?」
「さぁって…。じゃあ熱はかってね?」
そういって美人は体温計を差し出してきた。
「寝てれば治るんで」
「そう?だけど一応はかっておいて」
「いや、本当にいいんで」
本当にこの人しつこいな。
「そう…」
美人は残念そうな顔をして体温計を引き出しの中にしまった。
俺はそれを見届けたあと、俺はさっさと寝た。
眠りにつく前に俺はふと思った。
そういえばあの美人、俺に媚びてこなかったな。