あの夏で
「わかった……。ゆうきのこと諦められないかもしれないけど、ゆうきのその気持ちはよくわかったから…」
智は涙をふいて顔をあげた。
俺と目があうと、ニコッていつもの智の笑顔で笑った。
「じゃあ、あたし帰るね!!もう1人ではここにこないから安心して!!」
そう言って智は病室から出た。
「ふぅ………」
初めて知ったよ、智。
人をふるのにもこんなに勇気がいるなんて。
人をふるのにもこんなに怖いんだ。
今までは特にこんな感情もなかったし、相手のことを考えずにふっていたから。
初めてのことに気づかせてくれてありがとう。智。