君に出会った世界
指示通り、20m程歩いた。
ずっと殺風景だった背景の中に、鉄で出来た頑丈そうな扉が姿を現した。
不気味だ。
そして見るからに重そう。簡単に開けられる扉なのだろうか。
徐々に近付き、恐る恐る手をかけた。
冷んやりと冷たく、硬い鉄の扉は、全く動かない。
「どういうこと!?開けてくださいって言ったのはそっちじゃん。」
どんなに押しても開かない。
ピューン
「ピピッ
生年月日と名前を入力して下さい。」
聞き覚えのある機械音。それに従いたいのは山々だが、どこに入力するのだろうか。
一通り見渡してみたが、わからない。機械の説明不足。
「すいませーん!どこに入力するんですかー?」
質問投げかけてみたが、反応なし。
もう、どうすればいいのよ…。
はぁー、とため息をつき、俯いた瞬間
ウィーン
ガガガガガガガ
鉄の重い扉が開き出した。