君に出会った世界
黒いスーツを纏い、少し太り気味のおじさんが出て来た。
って、
「おめでとうございます。じゃないですよっ!!!
こっちは死んだんですよ!?」
私は少し怒鳴り気味に言った。
すると、太り気味のおじさんは少し困ったような顔をして言った。
「申し訳ありません。
なんせTNOA2(ティーエヌオーエートゥー)でしたので……」
「…私も怒鳴ってすみませんでした。
ところで、その…"TNOA2"って?」
「はい…。"TNOA"はThe number of averageの略です。
世界の一日の死者数は、平均150,000人です。
そしてあなたはJAPAN出身ですよね?
JAPANは一日平均、3,000人亡くなっておられます。
あなたはちょうど偶然、平均の数ピッタリに、それも二つ重ねて来られた。だから、TNOA"2"です。お分かりいただけましたか?」
「…あぁ、はい。なんとなく…。」
おじさんは、興奮気味で鼻息が荒い。
「本当にすごいことなのですよ!
私は今までTNOA2になった方を見たのはこれで2度目です。
歴史的瞬間をまたお目にかかれて光栄です。
あなたのように生きる意思の強そうな方が選ばれる運命なんでしょうかね。」