子羊+狼のお話



「え………?」


「そんな複雑な顔せんといて
優乃は、笑ってた方がええよ
ま、俺がこんな話したら複雑な顔
したんだよな」


「え?違うよ!」

違う、違うもん…


私は、ただ…


そっか…私は、怖くて…
何を言って良いか分からなくて



「優乃、ええんだで?
話聞いてもらえただけでええし
優乃も、あるんやろ?」



「え………?」


なんで……。貴方には分かるの?


「“田中さん”やろ?」



「……………………」



「田中さんがな…優乃の執事を
降りなきゃあかんってなったらな
俺らに頭を下げたねん…でな…
田中さんがいった言葉がな」


「………っっ………」

“優乃様をよろしくお願いします
優乃様は寂しがり屋で強がって
周りに合わせたりする方なんです
優乃様を見ててあげてください
私は、優乃様の執事を降りても
笑顔にさせてあげてください
私は、それだけで幸せです
あの方は私が執事をやってきて
一生涯、大切なご主人様です”



「田中さんかっこええよな。
お前も、田中さんの事ほんま、
好きなんだな…。ほら…」


―グイ―



「うわ―…!」


零君に引っ張られ、
抱きしめられる形になった





< 15 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop