雨降る中で
「ゴメン遥…私知ってるの
知ってて遥と付き合ってるの」



笑いながら話す私に目の前にある綺麗な遥の顔は悲しそうに歪んでいく



「遥が私の事、カケテルって……」



何も言わず遥は驚き私を見つめた



「賭けって…俺っっ……」



慌て何かを言う遥の言葉は私の中に入ってこない



「遥…私ね昔スゴく好きな人が居たの
初恋だった…

いつも隣に居る事が当たり前で、あの頃の私は彼も、もしかしたら私の事好きなのかもって思ってた

ある日ね私、その人に手紙を書いたの

もし、それでフラれたとしても構わなかった

友達として側に居れるならいいって

それがある日、私の居ない所で言われてた…

『あいつ全然可愛く無いくせに馴れ馴れしくてマジ迷惑なんだけど』

って…


遥…私は、私はね…

アイツや遥の気持ちが少しでも分かりたかったの

そっち側の人間の気持ちが分かりたかったの

でも、やっぱり私には分からないや」


私はスカートを直しながら座っていたベンチから腰をあげた



「…知恵
待って…チョット待って……」


力なく慌てる遥が切なく見えた


「これでゲーム終わりだね…」




私はそこで話す事をやめた





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