君はボクの天使?
「ごめん、カミちゃん先に帰って」

「え!?つぐみさん、もしかして歌の人がそんなに気になるんですか?」

うまく誤魔化そうとしたのにカミちゃんは瞬間的に察してしまったようだった

恥ずかしかったけど仕方がないので

「うん、ちょっとだけ見てから帰る」

と、言った

「あはは、つぐみさんが珍しい。じゃあ、また明日!」

さっぱりと手を振ってくれて少し気が楽だった

カミちゃんの後ろ姿を見送ると私は小走りに駅前の階段を降りた
声の主は階段の下の広場で歌っている

人ごみという程ではない数人のギャラリーに囲まれその人は歌っていた

近づく程にその声には惚れ惚れした
男らしいのに甘くてちょっと色気があって私のツボだった

どんな人なんだろう
近くで聞きたい

そしてその人の姿を確認した瞬間
私はびっくりしすぎて思わず叫びそうになった
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