君はボクの天使?
「お腹いっぱいで苦しい」

歩きながら私が言うと、リクちゃんが笑った

「俺も。つぐみちゃんと居ると太っちゃうかもなぁ・・・」

リクちゃんは道に詳しくて安心だった
聞けば、地元が近いらしい
都会人なんだなぁと思った

リクちゃんの実家の家族の話と犬の話が面白くて笑った

「いいなぁ、リクちゃんち楽しそう」

「つぐみちゃんは、独り暮らし?」

「うん、そうだよ」

私は短大の時から今の部屋に住んでいる
実家は新幹線で1時間くらいのところ
気楽だけど、たまに寂しくてフラッと帰るんだよと話すとリクちゃんは言った

「彼氏とは、お休みの日に会うの?」

「あんまり。休みが全然合わないの。それに忙しいみたいで最近全然会ってくれないし」

今日はやたら彼氏の話をしたがるなぁ、と思いながら答えると

「会いたい、とか自分から言わないの?」

と、ちょっと痛い所を突かれた

「言わない。なんか、悔しいもん」

ちょっとイラっとして答えてしまった

「素直に言えばいいのに。会いたい、とか言われたら彼氏嬉しいと思うよ?」

私は、リクちゃんがなんでそんな事を言うのか理解できなかった

リクちゃん、私が彼氏と会っても平気なの?
嫉妬しないの?
別れてほしくないの?

思わず黙ってしまった

そしてしばらくは無言で、変な空気の中、私達は歩いていた
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