百鬼夜行の主~番外編~
「主様、お怪我は?」
「大丈夫だ。それより……」
私はさっきのことを思い出す。鬼灯が…私の名前を呼んだ。
いつも主様としか呼ばない鬼灯が呼んだのだ。何かとても恥ずかしい…
耳まで赤くなっていることがよく分かった。
無言で歩いていると、急に鬼灯は足を止めた。
私は不思議に思い、振り向いた。
「ほおず…っ…!?」
名前を呼ぼうとして、言葉は途切れた。私は鬼灯の腕の中にいたのだ。何故…?
「主様…」
どこか鬼灯が寂しそうに呼ぶ。私は静かに鬼灯の背に腕を回した。