百鬼夜行の主~番外編~


「少しまっててください」

雪羅さんがベンチに座り、鼻緒を直し始める。

俺はほてった顔を隠すため、背中を向けた。

「あの…すみません」

俺は首だけ動かし、雪羅さんを見た。

「鼻緒…少し短くなっちゃって…」

俺は雪羅さんが持っている下駄を見る。桜柄の鼻緒は、切れたからか短くなって履けなくなっていた。

「………あ、ちょっと足出して」

雪羅さんが恐る恐る片足を出した。

俺は鼻緒の切れた下駄を履かせ、ポケットからハンカチを出した。

「痛かったら言ってね」

「はい…」

下駄にハンカチを巻き付け、足と下駄を固定した。

「よし…歩ける?」

俺は雪羅さんを見上げた。

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