百鬼夜行の主~番外編~
凛とした彼女とは思えない、真っ赤な顔を俯かせ彼女は黙りこんでいた。
それがとても愛しくて俺は思わず彼女を抱き締めた。ひんやりとした彼女の体は線が細くて男とは違う儚さがあって、抱き締めるのを戸惑う程だった。
俺は割れ物を扱うかのように、彼女を優しく抱き締めた。
「…俺、頑張って全力で愛するよ…だから、好きでいさせてください」
彼女の体を抱き締めたまま、静かに囁いた。彼女は小さく頷き、俺の背に腕を回した。
「…私は妖怪ですから、一緒にいるのは辛くなりますよ?」
「…いいよ。五十嵐のお袋さんだって、妖怪と人間だったんでしょ?」
「…覚悟してくださいよ」
彼女は静かに微笑んだ。俺は彼女の額に唇を寄せると再び抱き締めた。