百鬼夜行の主~番外編~
「………で、なんでいきなりデート?」
気狐の尻尾をもふもふと音が聞こえるくらい撫でながら鬼灯が顔をこちらに向けた
「ちょうど映画の割引券をもらったんです。ペアなので期限が切れる前に行きたいと思って」
なるほどね。と私は納得した。鬼灯が唐突にデートに誘うことはさほど珍しいことではない。唐突ーといっても行こうと計画した翌日とかではないし、なにより唐突に誘うには彼なりの理由があるからだ
私はしばらく考えながら、周囲を見渡す。とくに新入りが入ったわけでもなければ、私が休日の昼にいなくてはいけない理由もない。
よし…鬼灯の趣味も分かりそうだし、ここは久しぶりに出掛けるか
「いいね。ただ映画はなんでもいいから好きなの選んでおいてね」
「わかりました。では、今週の休日に」と言う言葉を残し、鬼灯は再び気狐の尻尾を撫で始めた
「あぅぅぅ…やめろぉぉぉぉぉ…背中痒くなる…あぅぅぁぁぁ………」
気狐のうめき声を聞きながら、私はデートに着ていく服を考え始めた