秘めた想い~紅い菊の伝説2~
 放課後、教室の中には和田美佳と大野孝が残っていた。二人はクラス委員で、先ほど全校のクラス委員が集まる会議を終えたところだった。
 クラス委員の会議といっても三学期ともなると話し合うことはほとんど無い。三年生は受験で参加してこないし、学校の行事も特にないからだ。そんなことに対する不満をぶつけるかのように美佳は教科書を乱暴に鞄に詰め込んでいた。
「和田さん、機嫌が悪いんだね?」
 孝は腫れ物に触るかのようにしている。
「大野君、あんた腹が立たないの?あんな無意味な会議」
 美佳の機嫌は更に悪くなっていく。
「そうだよなぁ、今日の会議も惰性でやっていた感じだものな」
「でしょう?だから体育祭とか文化祭の頃だけやればいいのよ」
 孝が自分の意見に同調したのが良かったのか、美香の機嫌が少し直ったように見えた。「まぁ、それは極端かもしれないけどね。あと一回なんだから我慢しようよ」
 孝は腫れ物に触るように美佳の心を探る。美佳はそんな孝の気持ちがわかるかのように気持ちの高ぶりを押さえてふっと溜息をついた。
「そうね、あんたに当たっても仕方ないものね」
 美佳は鞄を持ち、孝に「帰ろう」と視線で言った。
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