-Believe- ~始まりの裁判~
私の声で、今までざわついていたカフェテリア内が一気に静まり返ったことで、我にかえる。やばい、大きすぎたかな…。
私はコホン、と一度咳払いをすると、「こいつの彼女が悲しむので…。」と付け足した。
最初はビックリしていた亜美も、状況が把握できてきたからなのか次第に表情から驚きの色は消え、代わりに悲しそうに涙で目を潤ませるようになった。
「太一、彼女いたんだ…。私、知らなかったよ」
「彼女はまぁ…い、いるよ。」
「私、てっきり彼女になれたかと…
お、思ってたのに…っ!」
そう言うと亜美はテーブルに伏してしまった。
あ、あれ?なんか様子がおか…しい?
「どういうこと?」
ちらっと隣を見ると、太一はばつが悪そうに目をそらせて何も言わずに黙っている。
『待てよ…』
前には悲しそうに泣いている亜美。
太一の態度。
「彼女になれたかと思ってたのに」っていう亜美の言葉。
まさか…。
太一が曖昧な返事をしたせいで、こんなことになったってこと!?
乙女心を踏みにじるようなことをするなんて、そんなの…
最低すぎる!
私は太一をキッと睨み付けた。亜美はというと…テーブルに伏したまま。
「太一もうどっか行っててよ。じゃあね」
「は?話はまだ終わってな…」
「行ってていいって言ってんでしょ」
私は太一を睨み付けながら、そう吐き捨てた。
太一は、顔をひきつらせながらその場を去っていった。
太一がいなくなったとたん、私は亜美に優しく話しかけた。
「太一のやつ…。私が代わりに謝ります、本当にごめんなさいっ!
許されることじゃないと思うけど…。話ぐらいなら、私がいくらでも聞くから…っ!」
亜美は顔を上げ、涙ながらに「あ゛、ありがとぅう゛…っ」
とお礼を言うと、静かに語り始めた。