-Believe- ~始まりの裁判~
それからというものの、夕那は小学校でいじめの標的となってしまった。
担任も夕那の秘密を知っているため気味悪がって見て見ぬふり。
次第に夕那は不登校になっていった。
『友達がほしいだけなのに。誰かにこの気持ち、わかってほしい』
そんなことを考えていたとき、『女神』の名が頭に浮かんだ。
もう、誰だって良かった。怪しいとか、そんなことどうでもいいと感じてしまうくらい、夕那は追い詰められていたのだ。
『さつじんしゃの子どもでも?』
そう打って送信した。
気味悪がるかもしれない。でも、もしかしたら…
夕那はその可能性にかけた。
『悩みを打ち解けられるような友達が欲しい。』
ただ、それだけだった。
一日経って、女神から返信が来た。
まさか返信が来るとは思っていなかったので驚いたが、その内容に夕那はさらに驚かされた。
『殺人者の子供なんて、そんなの関係ないです。
だって、あなたは悪くない。友達になってくれてありがとう。』
夕那は胸に込み上げてくる何かを感じた。
『自分は悪くない』
その言葉を、ずっと求めていたからかもしれない。
このメールを境に、夕那は何かがあるとすぐに女神に相談するようになった。
どんなことを相談しても、女神はいつも的確なアドバイスをくれた。
そのお陰か、夕那は転校先でたくさんの友達を作ることができた。
いつしか、夕那は女神に強い信頼を寄せるようになった。
女神のいっていることはすべて正しいと思ってしまうほどに…。