-Believe- ~始まりの裁判~
3.破滅への道
19時30分 光咲宅 MISAKI ber
『今日はいろんなことがあったなあ…。』
お風呂から出たばかりで、まだ濡れている頭を拭きながら、光咲は考えていた。
あれから太一にはしっかり言っておいたから、誤解も解けるようになると思うんだけど…。
何か、悪い予感がするんだよねぇ…。
『~♪』
突然、光咲の携帯電話が鳴った。
最近買ってもらった最新機種で、着メロはお気に入りのゲームのBGMで、スッゴクお気に入り。
なんていう紹介はどうでもよくて。
携帯電話を見ると、相手は『お兄ちゃん』となっていた。
ピッ
「もしもし?」
『あっ、もしもし。竜だけど。』
「分かってるよ。表示されてるから。」
電話の相手は成嶋竜(23) 。弁護士をしていて、光咲のいとこだ。
弁護士って忙しいみたいだけど、何かあったのかな?
「で、何か用?」
『いや、最近暇でさ。声聞きたいなぁー、って思って。』
「弁護士ってそんな暇じゃないんでしょ?
怠けてると上司の千尋さんに怒られちゃうよっ!」
お兄ちゃんの上司の藍川千尋(29)さんは、私は一・ニ回しか会ったことが無いんだけど…。
とても仕事に熱心な人で、こんなのばれたらただですまないと思うんだけど…。
『大丈夫大丈夫。千尋さんこっちにいないし。』
「ならいいけど。暇ならビラ配りでもすれば?」
『ビラなら今麻衣ちゃんがやってるよ。
…あ、そうそう。麻衣ちゃんが光咲に会いたいって嘆いてるぞ。今度来てやれよ
…!あっ、悪いっ!僕忙しいからそろそろ切るぞ。
じゃあな!』
ブッ
さっき暇だってあんなに言ってたのに。
もしかして、千尋さんが戻ったのかもしれない。
っていうか、お兄ちゃんはなんで暇だからってだけですぐ電話するかなぁ。
こんなのが毎日続くって考えただけで、嫌気がさす。
『はぁ…。』と深くため息をつく光咲であった。