微熱
いつまで続くんだ…

この時期の、夕暮れは早い…まだ6時だってのに外は真暗だ。

゛いつもなら、輝ん家から帰る時間なのに、まだ学校にいる…ダセェ〜な!

チャリを気だるそうに、こぎながら、家路へ向かう。
俺ん家近くの、TELEPHONE BOX 付近に三人の女子が談笑している。
一人の女子が、俺をみつけ、駆けよってきた。

「あっ!高梨〜!ちょっといいかな〜」
甲高い声で、長身の女子が問いかける。

「何?別に、いいけど…」俺は、相変わらずぶっきらぼうに返す。

「あの娘、ほら手前の娘、高梨としゃべりたいんだってっ!羽留〜おいで〜」
甲高い!

「……」
うつむいたまま、その娘がこちらに歩みよる。

下を向いてるうえに、この暗闇…口元がチラミするぐらいのうつむき加減

俺は、チャリを止め、歩みよる。

人ひとりが、二人の間に入る距離で…

「…水上…です…」
自己紹介するとどうじに、俺を見上げる。

゛俺の席の…あの娘…゛
なんか、優しい気持ちになった。

自然に笑みがこぼれる。

その瞬間!甲高い声…が!
「えっ!なに!いまの?」
甲高い声の女子が、言葉にする

三人の女子は、俺の優しい笑顔に戸惑いかくせない。
そう…笑わない…輝の前でも…笑わない…あの日から…笑わない

「…高梨…ヒロ…なんか、聞きたい事とかある?」

「あのね…えっと…ほら…」

少女は、まだ、うつむいたまま、言葉はぎこちない。
゛羽留〜がんばれ〜がんばれ〜がんばるんよ!゛

少女の後ろで、見守る女子二人が祈ってる。

そして…

「電話とかしてもいいですかぁ〜〜?」

少女は、瞳を閉じ、足を踏張り、拳をグーにし、叫ぶ様に言葉にする。

俺はビックリすると同時に、こんな小さい身体からこんな大きな声が…とても可愛いくて弄らしい少女の姿に、一層、優しい気持ちになった。

「うん!いつでもかけてこいよ。」

「うん!」

少女は、また、うつむき加減に戻る。

「他には、なんかある?」
「…いい…」

少女は、小声でつぶやく

「そっか、じゃまたな!」
俺は、また、優しい気持ちになれた…

「羽留〜頑張ったね!あんた、頑張ったよ!」

見守っていた二人の女子がかけよる。

「うん!がんばった…」

羽留は、飛びっきりの笑顔で二人に返した。

「でもさ〜高梨…以外だったね!あんな顔するなんてさ〜初めて見たよ!アイツも笑うんだ〜」

甲高い声の女子が問いかけかける

「うーん!そうそう、私もビックリしたよ!本当は、優しい人かもねっ」

今まで、ずっとしゃべらなかった?もう一人の女子が返す。

「やさしい…」

羽留は、嬉しそうにつぶやいた

「あー…羽留ぅ〜あんた、肝心なこと言ってないよ!バレンタインのチョコ!
いきなり渡すの、怖いから貰ってくれるか聞くんじゃなかったの?」

要点は、バレンタインだった様子

「高梨に、明日、電話する…」

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