Kiss☆
それ以上のことは何もなかった。
ま、当たり前だよね。
二人同時に体を離して、自然と歩きだした。
「おい!秦野~!」
砂浜に着くと先輩の友達がそう言った。
あ!真矢だ!!
先輩の友達の隣には真矢の姿があった。
涙が溢れた。
真矢、よかった…。
泣いて動けないでいるあたしの背中を、先輩が押してくれた。
その勢いで、あたしは真矢に抱きついた。
真矢は、ごめんね ってずっと言ってた。
謝らないでって言っているのに。
「悠亜だけでごめん」って
そんなこと言わないでほしい。
悠亜だけでよかったよ。
真矢は、いなくてよかったって
本当にそう思った。
二人で涙を吹きあって、先輩にお礼を言った。
先輩は、あたしの頭を自分の肩にくっつけて、「誰にも言わねーから。」と言った。