冷血な旦那様と新しい恋 【完結】
お互い酔っていた中で。
2人で新しい日付を迎えた。
酔っていた、それだけで及んだ行為。
だから悲しかった。
これが最後だと思った。
「……おはよ」
「おはよう、那智」
シャツを着ながら、優しそうな瞳があたしを覗き込んだ。
「朝ごはんでも、食いに行く?」
お腹は減った。
…けど………
「ううん、帰るね」
これ以上一緒にいたら、思わず言ってしまいそうで。
「分かった」
好きって。
だから、1人で帰ることにした。
外は寒かった。
5分くらい歩いたときに、メールが来た。
“また飲みに行こうな”
悠からのメール。
あぁ、もう…、泣いちゃいそう。
悠を嫌いになりたい。
悠は別にあたしのことを恋愛対象として見てないのに。
昨日の夜、優しくあたしに触れた手の感触を、あたしははっきり憶えている。
指先が冷えて、動かないなかで、
あたしはメールを悠に送った。