冷血な旦那様と新しい恋 【完結】
周りの野次馬が、口々にこう言っていた。
「……あの子、自殺しようとしてたんじゃないかしら」
嫌な…予感がした。
まさか、と平常心を保つ自分。
その自分が、道路を覗くと。
見覚えのあるバッグが離れた場所に落ちていた。
タイヤの跡がついて、黒くなったそれは…
確実に、那智のだった。
「すいませんっ、通してくださいっ」
認めたくなかった。
担架に乗せられて、運ばれている人が。
「那智っ!!」
さっきまで俺の隣で寝息をたてて眠っていただなんて。