冷血な旦那様と新しい恋 【完結】
でも、だからこそ、気付けたんだ。
那智が、好きだってこと…――――――。
「帰れない。俺は一生、那智の側にいる」
「……ハルくん…」
奏未が何かを言いかけたとき。
治療室の扉がゆっくり開いた。
「知り合いの方ですか?」
「…はい。で…那智は…」
佳苗のか細い声が、医者の声で消された。
「頭部の損傷が酷いです。
我々は出来る限りのことはして、一命はとりとめました。しかし、意識が戻らないかもしれません」
「意識が戻らなかったら…?」
「脳死、という形になります」
その医者の言葉で、奏未が泣き崩れた。
看護師によって運ばれてきた那智は、治療の跡をたくさん残しながら、集中治療室に運ばれた。