【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
初めから準備してあった浴槽に入浴剤を
投入し、ゆったりとお風呂に浸かって居
るとき。
ふと、曇りガラスの向こう側に、人影を
見つけた。
ゆらゆら揺らめく、黒い影。
それでもわかってしまう、引き締まった
そのシルエットに、ごくり、と生唾を飲
み込んだ。
それでなくても、この家に今居るのは、
私と───……。
まさか…。ううん、でも、それしかあり
得ない。
「こっ…光弥……?」
やけに静かな浴槽に、そんな戸惑ったよ
うな私の声だけが妙に反響して。