【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
床に落としていた視線をあげれば、今帰
ってきたのか、光弥がそこには立ってい
て。
私は大袈裟に驚いて、思わず後ずさって
しまった。
びっくりしたからか、心臓も煩い。
「びびび、びっくりさせないで!ていう
か、入ってこないでよ!」
「別に良いじゃん。昔は一緒に一晩過ご
した仲だろ?」
ニヤリと意味深に微笑み、そう言う光弥
を睨む。
「変な言い回しすんじゃない!」
そう言って、恥ずかしいのを紛らわすよ
うに投げたのは、近くにあったテディベ
アのぬいぐるみ。
でも、光弥はそれを、難なく片手で受け
止めた。
それからチラリと私を一瞥すると、ジリ
ジリと近寄ってきて、いつの間にか顔が
目の前にあった。
……近い!
「こ、光弥……」
「さっき、なに言ってたの?俺が、なん
だよ」