【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
そこには、いつもの何倍にも声を低くし
た、光弥が立っていた。
当然そんな状態の光弥に逆らうとか、そ
んな自殺行為は出来ないと悟った私は、
大人しく光弥についていったのだった。
──明らかに不機嫌そうな光弥にグイグ
イと容赦なく引っ張られて、連れていか
れた先は。
未使用の空き教室だった。
ガラッ、と勢いよくドアを開けた光弥は
、そのまま教室に私を押し込むと、後ろ
手でドアを閉めた。
私を見つめる光弥の瞳はいつにも増して
ギラギラと妖しい光を放ってる。
そんな光弥を見つめていると、まるで、
自分が狼に狙われたウサギのようで滑稽
だった。
光弥がジリジリとよってくるたび、その
ぶん、後ずさる私。
本当はこの教室から逃げてしまいたいけ
ど、それが無理だということはわかって
いた。だからこれが、せめてもの抵抗だ
った。
そんな私に、光弥は更に不機嫌そうに眉
を寄せる。
「……なんでにげんだよ」
「こ、光弥が来るから?」