【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
だけど朝田は、そんな俺の様子にも気付
かずに相変わらず笑ってる。
そんな態度に、またイライラが募る。
ふと、滝川の言ったことが脳裏にちらつ
き、こいつの笑顔が偽物に見えてきた。
疑心暗鬼になりながら朝田を見つめてい
ると、笑顔を浮かべたまま、口を開く朝
田。
「俺……。恋那の事、ホンマに好きやか
ら。諦めるつもりもあらへんし、国立と
の仲を見守るつもりもあらへん。俺の方
が……。アイツのこと、好きやから」
そう言った朝田は、いつもの陽気でお気
楽なアイツとは違って。
口元は笑ってるくせに、その瞳は至って
真剣で──本気だって事が、痛いくらい
に伝わってきたんだ。
だけど。
「……あっそ。けどさ、俺の方が……。
アイツを好きだから。それに俺だって、
お前に譲るつもりなんかねーよ」
それだけは、譲れねぇから。
アイツだけは、譲らない。