【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
サブディスプレイに表示されたその名前
に、思わず苦虫を噛み潰したような表情
を浮かべてしまう。
夏希……。
俺──。
ちょっと躊躇ってから電話に出ると、少
しだけ久しぶりな、夏希の声が聴こえて
きた。
『ああ、日向ぁ?最近、どうなの?』
「まあ、順調」
俺がそう言うとふふっと夏希が笑う声が
した。
『そ。それなら良かったけど。ねえ、そ
れよりも、私が言ったこと──実現、出
来てるの?
椎名恋那は、奪えたの?』
少し低い声で問われて、俺は思わず生唾
を飲み込んだ。
来た。
一番恐れていた、話題。